「葬儀費用の支払いがあるので、死亡保険金をできるだけ早く受け取りたい」
「亡くなった家族が生命保険に入っていたはずだけれど、保険証券が見つからない」
家族が亡くなったあと、このような状況になることがあります。
死亡保険金は、受取人に指定された人が保険会社へ請求して受け取るのが基本です。入金までの日数や必要書類は保険会社・契約内容・確認事項によって異なるため、まず契約先へ連絡しましょう。
また、死亡保険金にかかる税金は一律ではありません。誰が保険料を負担していたか、誰が亡くなったか、誰が保険金を受け取るかによって、相続税・所得税・贈与税のいずれかになる可能性があります。
この記事では、死亡保険金を受け取るまでの流れ、必要書類、保険契約が分からない場合の探し方、請求期限、税金について解説します。
死亡保険金はいつ入る?まず保険会社へ連絡する
入金までの日数は契約によって異なるため、葬儀費用に使う予定なら早めに請求手続きを始めましょう。
死亡保険金は、被保険者が亡くなっただけで自動的に受取人の口座へ振り込まれるものではありません。
まず保険会社へ死亡したことを連絡し、必要書類を取り寄せて請求手続きを行います。
必要書類が保険会社に到着したあと、契約内容や死亡原因などを確認し、支払対象と判断されれば指定口座へ保険金が振り込まれます。
具体的な支払期限は各保険会社の約款などによって異なります。また、提出書類に不備がある場合や、保険会社による事実確認が必要な場合には通常より時間がかかることがあります。
葬儀費用に充てたい場合は早めに手続きを始める
死亡保険金を葬儀費用に充てたい場合は、葬儀社の支払期限と保険会社の入金予定日をそれぞれ確認しておくと安心です。
「死亡保険金は必ず数日で入る」と考えて、保険金だけを前提に葬儀費用の支払計画を立てるのは避けましょう。
保険会社へ連絡するときに、必要書類とあわせて「書類提出後、通常どのくらいで支払われるのか」を確認してください。
死亡保険金は原則として受取人が請求する
受取人が指定されている死亡保険金は、一般的な相続財産とは異なる扱いになることがあります。
生命保険契約で特定の死亡保険金受取人が指定されている場合、死亡保険金は原則としてその受取人が保険契約に基づいて取得するものです。
そのため、通常は預貯金や不動産のように遺産分割を終えるまで待ってから受け取るものではありません。
ただし、受取人の指定方法や契約内容、受取人が先に亡くなっている場合などによって扱いが異なることがあります。個別の契約については保険会社へ確認してください。
死亡保険金を請求する流れ
保険会社への連絡から書類提出、審査、支払いという順番で手続きを進めるのが一般的です。
一般的な死亡保険金請求の流れは次のとおりです。
- 生命保険の契約内容を確認する
- 保険会社または代理店へ死亡したことを連絡する
- 保険会社から請求書類を受け取る
- 必要書類をそろえて提出する
- 保険会社が契約内容・支払事由などを確認する
- 支払対象となれば死亡保険金が指定口座へ振り込まれる
保険会社へ連絡するときに準備しておく情報
保険証券が手元にある場合は、証券番号を確認してから連絡すると手続きがスムーズです。
あわせて、次の情報を確認しておきましょう。
- 亡くなった人の氏名
- 生年月日
- 死亡した日
- 死亡原因
- 保険証券番号
- 死亡保険金受取人の氏名
必要となる情報は保険会社によって異なります。
死亡保険金の請求に必要な書類
必要書類は保険会社や契約内容によって違うため、取り寄せる前に保険会社へ確認しましょう。
死亡保険金を請求するときには、一般的に保険会社所定の請求書や死亡を確認できる書類などが必要になります。
一例として、次のような書類があります。
- 死亡保険金請求書
- 死亡診断書・死体検案書など
- 死亡保険金受取人の本人確認書類
- 戸籍関係書類
- 保険証券
ただし、必要な書類はすべての契約で同じではありません。死亡診断書等についてもコピーで手続きできる場合があります。
先に戸籍謄本や証明書を大量に取得するのではなく、保険会社から必要書類の案内を受けてから準備すると無駄を減らせます。
生命保険に入っていたか分からないときの探し方
保険証券が見つからなくても、通帳や郵便物を確認し、必要なら生命保険契約照会制度を利用できます。
「生命保険に入っていたと言っていたが、どこの保険会社か分からない」というケースもあります。
まずは次のものを確認してみましょう。
- 生命保険証券
- 保険会社から届いた郵便物
- 預金通帳の保険料引き落とし履歴
- クレジットカードの利用明細
- 確定申告や年末調整に使った生命保険料控除証明書
- メールなどに残っている保険会社からの通知
見つからなければ「生命保険契約照会制度」がある
家族で調べても契約先が分からない場合には、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用できる場合があります。
この制度では、親族等が亡くなった場合などに、その人が保険契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を、生命保険協会の会員会社へ確認できます。
ただし、すべての保険契約が照会対象になるわけではありません。また、制度の利用には所定の利用料や本人確認・相続関係を確認するための書類などが必要です。
利用条件や料金、必要書類は変更される可能性があるため、申し込み時には生命保険協会の最新情報を確認してください。
死亡保険金にかかる税金は3パターン
死亡保険金は、保険料を実際に負担した人と受取人の関係によって税金の種類が変わります。
死亡保険金を受け取った場合、必ず相続税になるわけではありません。
国税庁では、被保険者・保険料負担者・保険金受取人の関係によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかになるとしています。
| 被保険者 | 保険料負担者 | 受取人 | 税金 |
|---|---|---|---|
| 父 | 父 | 母・子など | 相続税 |
| 父 | 母 | 母 | 所得税 |
| 父 | 母 | 子 | 贈与税 |
亡くなった本人が保険料を負担していた場合は相続税
被保険者と保険料負担者が同じ人で、別の人が死亡保険金を受け取った場合、その死亡保険金は相続税の対象になります。
たとえば、父が自分の生命保険料を負担し、父の死亡によって妻や子が死亡保険金を受け取るケースです。
保険料負担者と受取人が同じなら所得税
被保険者とは別の人が保険料を負担し、その保険料負担者自身が死亡保険金を受け取った場合は所得税の対象です。
死亡保険金を一時金で受け取った場合は、原則として一時所得として計算します。
3人すべて異なる場合は贈与税
被保険者・保険料負担者・死亡保険金受取人がすべて異なる場合は、原則として贈与税の対象になります。
税額は保険金額や他の財産・所得などによって変わるため、「相続税・所得税・贈与税のどれになるのか」を確認したうえで、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。
相続税になる死亡保険金には非課税枠がある
相続人が受け取る一定の死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。
亡くなった本人が保険料を負担していた死亡保険金には、一定の場合に相続税の非課税制度があります。
500万円 × 法定相続人の数 = 死亡保険金の非課税限度額
たとえば、法定相続人が妻と子2人の合計3人なら、非課税限度額は1,500万円です。
ただし、この非課税制度を利用できるのは原則として相続人が受け取った死亡保険金です。相続を放棄した人や相続人ではない人が受け取った保険金については、同じように非課税枠を利用できるわけではありません。
また、「1,500万円までなら必ず税金がかからない」という意味ではなく、死亡保険金以外の相続財産も含めて最終的な相続税を判断します。
死亡保険金の請求期限はいつまで?
請求を後回しにせず、保険証券を見つけたら契約している保険会社へ早めに連絡しましょう。
保険給付を請求する権利には時効があります。一般的な生命保険では約款上の請求期限についても確認が必要です。
「まだ時間があるから」と放置すると、必要書類を集めにくくなったり、契約内容の確認に時間がかかったりする可能性があります。
死亡保険金を請求していなかったことに後から気づいた場合も、自分だけで「もう受け取れない」と判断せず、まず契約先の生命保険会社へ問い合わせてください。
死亡保険金に関するよくある質問
請求時に迷いやすいポイントを、手続き・税金・契約確認の3つに分けて確認します。
死亡保険金は何日で振り込まれますか?
保険会社・契約内容・請求内容によって異なります。必要書類に不備がなく事実確認が不要な場合でも、具体的な支払期限は契約先の約款や案内を確認してください。
保険証券をなくしたら死亡保険金を請求できませんか?
保険証券が見つからなくても、契約を確認できれば請求できる場合があります。まず契約先と思われる保険会社へ相談してください。
どこの生命保険会社か分からない場合はどうしますか?
郵便物、通帳、生命保険料控除証明書などを確認します。それでも分からない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用できる場合があります。
死亡保険金はすべて相続税の対象ですか?
いいえ。保険料負担者と受取人などの関係によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかになります。
死亡保険金は遺産分割が終わるまで受け取れませんか?
受取人が指定されている死亡保険金は、一般的には受取人が保険会社へ請求します。ただし、契約内容や受取人の状況によって異なる場合があるため、保険会社へ確認してください。
まとめ:死亡保険金は契約確認から早めに手続きを始める
保険会社を確認し、必要書類・入金時期・税金を一つずつ確認しながら請求手続きを進めましょう。
家族が亡くなったあと、生命保険に加入していたことが分かったら、まず保険会社へ連絡して死亡保険金の請求方法を確認します。
保険証券が見つからない場合でも、郵便物や通帳などから契約先を探せます。契約先そのものが分からない場合には、生命保険協会の生命保険契約照会制度を利用できる場合もあります。
また、死亡保険金の税金は契約者という名称だけで判断せず、誰が実際に保険料を負担していたか、誰が亡くなったか、誰が受け取るかを確認することが重要です。
葬儀後はさまざまな手続きが重なりますが、死亡保険金についても後回しにせず、契約が確認できた段階で早めに保険会社へ問い合わせましょう。


