「葬儀会場に向かう途中、数珠を忘れたことに気づいた!」
「家族が持っている数珠を借りて行ってもいい?」
葬儀の必需品である「数珠(念珠)」。普段使わないだけに、いざという時に見当たらなかったり、マナーがわからず困ったりしがちです。
まず結論から言うと、数珠の「貸し借り」はマナー違反です。数珠は持ち主の身を守る「お守り(分身)」と考えられているため、家族間であっても共有すべきではありません。
本記事では、数珠がない場合の緊急対処法と、これから買う人のための「失敗しない色・種類の選び方」、そして会場での正しい持ち方について解説します。
やってはいけない最大のタブー「数珠の貸し借り」
「とりあえず夫のを借りよう」「親のを借りていけばいいか」
これは絶対にやってはいけません。
数珠は「個人の分身(お守り)」である
仏教において、数珠は単なる道具ではなく、持ち主の煩悩を消し、身を守る「分身」や「お守り」のような役割を持っています。
他人の数珠を使うことは、他人の徳や業(カルマ)を借りることになり、仏教的に非常に失礼な行為とされています。
たとえ親子や夫婦であっても、「一人一珠(ひとりいちじゅ)」が鉄則です。
忘れたら「借りる」より「持たずに参列」が正解
では、忘れてしまったらどうすればいいのでしょうか。
答えは、「数珠を持たずに(空手で)参列する」のが正解です。
数珠がないと焼香ができないわけではありません。借り物でお茶を濁すくらいなら、心を込めて素手で合掌する方が、よほど故人に対する敬意になります。
どうしても気になる場合は、葬儀場の売店や近くのコンビニで購入して対応しましょう。
どれを買えばいい?万能な「略式数珠」を選ぼう
新しく購入する場合、「自分の宗派(浄土真宗や曹洞宗など)に合わせないといけないの?」と悩みますが、参列者として行くならその必要はありません。
宗派を問わず使える「一重(片手)」タイプ
本来は108個の玉がある「本式数珠(二連)」が正式ですが、一般の参列者は、玉の数を減らして簡略化した「略式数珠(片手用)」を使うのが一般的です。
略式数珠であれば、相手がどの宗派の葬儀であっても失礼にならず、すべての場面で使うことができます。
男性用と女性用の違い
数珠に「男女兼用」はありません。玉の大きさで見分けます。
- 男性用:玉が大きい。色は黒檀(こくたん)、虎目石、オニキスなど、黒や茶色の渋い色が多い。
- 女性用: 玉が小さい。水晶、ローズクォーツ(ピンク)、真珠、紫水晶など、明るい色や透明なものが多い。
色は自由?コンビニで買ってもいい?
購入時の素朴な疑問にお答えします。
色は「自分の好きな色」でOK
葬儀だからといって、必ずしも「黒」である必要はありません。ピンクや紫、透明など、自分の好きな色・石を選んで構いません。
ただし、あまりに派手すぎる蛍光色などは避けるのが無難です。迷ったら、どんな服装にも合う「水晶(クリア)」や「木製(茶・黒)」を選べば間違いありません。
コンビニ・100均の数珠は緊急用として
最近はコンビニや100円ショップでも数珠が売られています。急な訃報で時間がない時に利用するのは問題ありませんが、やはり糸が切れやすかったり、見た目が安っぽかったりします。
あくまで「今日だけ」の緊急用とし、後日、仏具店やデパートで数千円〜のきちんとした数珠を一本用意しておくことを強くおすすめします。
恥をかかない!数珠の「持ち方・使い方」
最後に、会場での振る舞いです。
移動中は「左手」に持つのが鉄則
数珠は必ず「左手」に持ちます。仏教では、左手が「清浄(仏の世界)」、右手が「不浄(現世)」とされているためです。
歩いている時や座っている時は、房(ふさ)を下にして左手の親指と人差指の間にかけるか、左手首にかけておきます。
※バッグやポケットにそのまま入れる場合は、裸で入れず「数珠袋(念珠袋)」に入れるのがマナーです。
焼香・合掌時の扱い方
お焼香をする時は、左手に数珠を持ったまま、右手で抹香をつまみます。
最後に合掌する際は、両手を合わせ、両手の親指と人差指の間に数珠をかけ、房を下に垂らして拝みます。
※ジャラジャラと音を立てて擦り合わせるのは一部の宗派だけですので、基本は静かに扱ってください。
まとめ:大人のマナーとして「自分用」を一本持とう
数珠は、社会人として必ず必要になるアイテムの一つです。
「貸し借りはできない」ということを覚えておき、いざという時に慌てないよう、自分だけの数珠を用意しておきましょう。
安くても構いません。あなたが大切に扱えば、それがあなたを守る最高のお守りになります。

