「最愛のペットは家族そのもの。死後も一緒のお墓に入りたい」
そう願う飼い主さんは非常に多いですが、いざお墓を探すと壁にぶつかります。
「ペットの遺骨は入れられません」
多くのお寺や霊園で、こう断られてしまうのです。
仏教的な背景や、他の利用者への配慮から、人間と動物の「共葬(きょうそう)」は長らくタブーとされてきました。
しかし近年、そのニーズに応える新しいタイプのお墓が増えています。
本記事では、ペットと一緒に入れるお墓の「種類・選び方」と、よくある「親族トラブル」を回避するためのポイントを解説します。
なぜ断られる?ペット共葬の「高い壁」
家族同然なのに、なぜ一緒に入れないのでしょうか。そこには、伝統的な宗教観と、公共の場としての事情があります。
仏教における「六道(ろくどう)」の考え方
仏教には、魂が生まれ変わる6つの世界(六道)という考え方があります。
人間は「人間道」、動物は一つ下の「畜生道(ちくしょうどう)」に属するとされ、住む世界が異なると考えられてきました。
そのため、由緒ある寺院墓地などでは、「仏様になったご先祖と同じ聖域に、動物を入れるのは無礼である」として、ペットの納骨を禁止しているケースが依然として多いのが現実です。
動物嫌いな他の利用者への配慮
宗教色がない「公営霊園(自治体の墓地)」でも、ペット共葬は原則禁止されていることが多いです。
これは、「お墓参りに来たら、隣の墓に犬が入っていた。動物嫌いなので不快だ」といった利用者からのクレームを避けるためです。
お墓は公共性の高い場所であるため、飼い主以外の感情も配慮しなければならないのです。
一緒に入るための3つの選択肢
しかし、諦める必要はありません。最近は「ペットも家族」という価値観を持つ人が増え、それに対応した霊園も急増しています。
1. 「ペット共葬区画」のある民営霊園
宗教法人ではなく、民間企業が運営する霊園であれば、ルールは柔軟です。
「ペット共葬OK」の区画を設けている霊園を探しましょう。こうした霊園では、墓石にペットの名前を刻んだり、犬や猫の足跡のイラストを彫ったりすることも可能です。
2. 樹木葬(じゅもくそう)
今、最もペットフレンドリーなのが「樹木葬」です。墓石の代わりに桜やモミジなどの木を植えるスタイルで、自然志向の人に人気です。
「シンボルツリーの下に、家族とペットの遺骨を一緒に埋葬できる」というプランが多く、土に還るというコンセプトも相まって選ばれています。
3. 納骨堂(のうこつどう)
屋内型のロッカー式お墓「納骨堂」でも、一部の施設では対応しています。骨壷を並べて安置できるスペースがあり、天候を気にせず会いに行けるのがメリットです。
ただし、施設全体がペット可とは限らず、「専用フロアのみ可」などの制限がある場合が多いため確認が必要です。
火葬は別々?「一緒の火葬炉」には入れない
よくある誤解が、「私が死んだら、ペットと一緒に焼いてほしい(同じ火葬炉に入りたい)」という願いです。
残念ながら、これは物理的・法的に不可能です。
人間と動物は法律上の扱いが違う
人間は「墓地埋葬法」、ペットは「廃棄物処理法(または動物愛護条例)」と、管轄する法律が全く異なります。
また、火葬炉の温度や構造も違うため、抱きかかえて一緒に火葬することはできません。
先にペットを火葬し、遺骨を自宅で保管する
一緒のお墓に入るための一般的な流れは以下のようになります。
- ペットが亡くなったら、ペット火葬業者で火葬する。
- 遺骨(骨壷)を自宅に持ち帰り、手元で供養する。
- 飼い主が亡くなった時、自身のお骨と一緒に、ペットの骨壷もお墓に納骨する。
つまり、「同じ火葬炉」ではなく、「同じお墓」で再会することになります。
絶対に確認!親族・承継者の同意
ペット共葬のお墓を建てる際、最大のハードルとなるのが「親族」です。
「動物と同じ墓なんて」という世代間ギャップ
親世代や親戚の中には、「動物と同じ墓に入るなんて考えられない」と強い抵抗感を持つ人がいます。
また、あなたが入った後、そのお墓を管理(墓守)するのは子供や孫かもしれません。
「お父さんはいいけど、僕たちが管理するお墓に犬の骨があるのはちょっと…」と拒否される可能性もあります。
独断で決めず、必ず家族や承継者と話し合い、同意を得ておくことがトラブル回避の鉄則です。
まとめ:お墓だけじゃない。「手元供養」も一つの形
もし、予算や親族の反対でお墓に入れなかったとしても、悲観しないでください。
お墓に入れることだけが供養ではありません。
ペットの遺骨の一部をカプセルに入れてペンダントにしたり、おしゃれなミニ骨壷に入れてリビングに置いたりする「手元供養(てもとくよう)」という方法もあります。
形にとらわれず、あなたの心が一番落ち着く方法を選んでください。

