「家族葬だから、身内10人だけで静かに行おう」
そう決めていたのに、当日になって近所の人や会社関係者が式場に現れたら、あなたはどうしますか?
「席が足りない!」「料理がない!」「返礼品も用意していない!」とパニックになり、つい「家族葬なので…」と断りたくなるかもしれません。
しかし、わざわざ足を運んでくれた人を門前払いするのは、最大のマナー違反です。
故人の顔を立てるためにも、スマートな対応が求められます。
本記事では、想定外の弔問客が来てしまった時の「受付での神対応」と、パニックにならないための「予備準備(返礼品・焼香案内)」について解説します。
【大原則】来てしまった人は「絶対に追い返さない」
まず、心構えとして最も重要なことをお伝えします。
どんなに予定外であっても、来てくださった方を「帰ってください」と追い返すことだけは絶対に避けてください。
なぜ「お引き取りください」はNGなのか?
第一に、その方は故人を想い、忙しい時間を割いて駆けつけてくれた「善意の人」だからです。
第二に、これが最も現実的なリスクですが、「あの家は冷たい」「葬儀に行ったら追い返された」という悪評が立つからです。
葬儀は2日で終わりますが、残された家族の近所付き合いはずっと続きます。地域社会において、弔問を拒絶することは、今後の人間関係に大きなヒビを入れる行為だと認識してください。
目指すべきゴールは「焼香だけして、満足して帰ってもらう」こと
では、どうすればいいのか。
「式への着席」や「食事への参加」はお断りしつつ、「お別れ(焼香)だけ」をご案内するのが正解です。
相手も「家族葬なら長居は無粋だ」と分かっています。「顔だけ見せてもらえれば十分」という方がほとんどですので、丁寧に対応すれば数分でお帰りいただけます。
パニック回避!当日の受付・案内フロー【マニュアル】
当日、受付を担当する親族(または手伝いの方)には、以下の対応をお願いしておきましょう。
受付係の対応スクリプト(セリフ集)
「席がない」と焦る必要はありません。最初からこう伝えれば、相手も納得してくれます。
【受付での対応スクリプト】
「本日はお忙しい中、ご足労いただきありがとうございます。
今回は故人の遺志により『家族葬』として執り行っておりますため、誠に恐縮ながら、一般の方のお席やお食事の用意がございません。
ご焼香のみのご案内となりますが、よろしいでしょうか?」
動線の分離テクニック
親族がくつろいでいる「親族控室」に案内してはいけません。
式場の手前やロビーに「焼香台」を設けるか、開式前であれば祭壇へスムーズに誘導し、焼香が済んだらそのまま出口へ案内する動線を作ります。
もし「香典」を出されたら?
「辞退しておりますので」と断るのが基本ですが、それでも「気持ちだから」と差し出されることがあります。
その場での押し問答は周囲の迷惑になりますし、見苦しいものです。
「お気持ち、ありがたくお預かりいたします」と受け取り、香典返し(後述)を渡して、後日改めて半返しをするのが最もスマートな対応です。
これだけは用意しておけ!予備の「返礼品」と「お清め」
「物が足りない」という事態を防ぐため、葬儀社と相談して以下の準備をしておきます。
返礼品(会葬御礼)は「予定人数+10〜20個」余分に頼む
来てくれた方に手ぶらで帰っていただくのは失礼です。
500円〜1,000円程度の「会葬御礼品(ハンカチやお茶など)」は、必ず多めに発注してください。
多くの葬儀社では「使用しなかった分は返品可能」というシステムになっています。余っても損はしませんので、安心して多めに積んでおきましょう。
食事(通夜振る舞い)が足りない時の対処法
食事の席には案内できませんが、代わりにお渡しするものを用意します。
「お清め」として、缶ビール(またはお茶)と、小さなおつまみセットを受付で渡し、「これでお清めとしてください」と持ち帰っていただきます。
そもそも「招かざる客」を生まないための事前対策
当日バタバタしないための最善策は、そもそも「場所を知られない」ことです。
訃報(回覧板・掲示板)に「場所・日時」を書かない
町内会の回覧板などに載せる際、日時と場所(〇〇斎場など)を書いてしまうと、義理堅い人は必ず来ます。
「近親者のみにて執り行います」とのみ記載し、詳細な情報は伏せるのが最強の対策です。
葬儀社に「看板を出さない」ように依頼する
葬儀会館の入口に出る「〇〇家 葬儀式場」という大きな看板。
これを見て「あそこのお爺ちゃんが亡くなったのか」と近所の人が飛び込みで入ってくるケースがあります。
葬儀社に依頼すれば、看板を出さない、あるいは名前を小さくするといった対応をしてくれます。
まとめ:想定外の来訪者は「故人の人徳」。慌てず感謝を伝えよう
家族葬にお客様が来てしまうのは、計算違いかもしれませんが、決して悪いことではありません。
それだけ故人が慕われていた、人徳があったという証拠です。
「なんで来たんだ」と邪険にせず、「わざわざ来てくれてありがとう。おじいちゃんも喜びます」と感謝を伝えて、お焼香だけして帰っていただく。
この余裕を持つことが、家族葬を成功させる最後の鍵です。

