喪主を務めることになった時、一番気が重いのが「挨拶(スピーチ)」ではないでしょうか。
「人前で話すのが苦手」
「感極まって泣いてしまいそう」
「難しい言葉を知らないから恥をかきそう」
安心してください。家族葬において、立派な挨拶は必要ありません。
参列者は身内や親しい人ばかりです。定型文を棒読みするよりも、「メモを見ながら、自分の言葉で、短く話す」方が、温かみが伝わりずっと喜ばれます。
本記事では、家族葬にちょうどいい「挨拶の構成」と、そのまま使える「シーン別・文例(テンプレート)」を紹介します。
家族葬の挨拶は「形式」よりも「心」
まず、一般葬のような「喪主としての立派な振る舞い」というプレッシャーを捨ててください。
家族葬の挨拶で大切なのは以下の3点だけです。
上手く話そうとしなくていい。紙を見ながらでOK
一番怖いのは、暗記して挑み、感極まって頭が真っ白になり、言葉が出てこなくなることです。
挨拶のメモや原稿を手に持って読むことは、決してマナー違反ではありません。
堂々と紙を広げ、「一言ご挨拶申し上げます」と読み上げれば大丈夫です。
長さは「1分〜2分」がベスト
話が長いと、聞いている側も疲れてしまいます。
特に高齢の親族が多い場合は、立ったまま話を聞くのも負担になります。
感謝と報告だけのシンプルな内容で、1分〜2分程度(文字数にして300〜400文字)でまとめるのがベストです。
難しい熟語(ご厚情・ご鄭重など)は使わない
「ご厚情(こうじょう)」「ご鄭重(ていちょう)」といった、普段使わない難しい言葉を無理に使う必要はありません。
「お集まりいただき」「丁寧にしていただき」といった、普段使いの丁寧語で十分です。その方が、あなたの気持ちがストレートに伝わります。
【シーン別】そのまま使える!挨拶文例テンプレート
ここからは、実際にそのまま使える文例を紹介します。
( )の部分を状況に合わせて埋めて使ってください。
1. 通夜終了時の挨拶
通夜の儀式が終わり、これから通夜振る舞い(食事)へ移るタイミングでの挨拶です。
ポイントは「来てくれた感謝」と「明日の告別式の案内」を伝えることです。
【通夜挨拶の文例】
本日はご多用の中、父(故人の名前)の通夜にお集まりいただき、誠にありがとうございます。
皆様にお越しいただき、父もさぞ喜んでいることと思います。
ささやかではございますが、別室にお食事を用意いたしました。
お時間の許す限り、父の思い出話などを聞かせていただければ幸いです。
なお、明日の告別式は、(午前〇時)から執り行います。
本日は誠にありがとうございました。
2. 告別式(出棺時)の挨拶【最重要】
火葬場へ向かう直前、最後のお別れの挨拶です。
ここで一つだけ「故人のエピソード」を入れると、心に残る良い挨拶になります。
【告別式挨拶の文例】
遺族を代表いたしまして、皆様に一言ご挨拶申し上げます。
本日はお忙しい中、父(故人の名前)のために足をお運びいただき、心より感謝申し上げます。
(★エピソードを入れる)
父は、生前(釣りが大好きで、週末になるといつも海へ出かけていくような元気な人)でした。
晩年は(闘病生活が続きましたが、皆様からのお見舞いや励ましが何よりの支えになっていたようです)。
こうして皆様に見送られ、父も安心して旅立てると思います。
残された私達家族も、父にならって力を合わせて生きていく所存です。
本日は誠にありがとうございました。
3. 食事(通夜振る舞い・精進落とし)の献杯挨拶
食事の前の乾杯(献杯:けんぱい)の挨拶です。
料理が冷めないよう、手短に済ませるのがマナーです。
【献杯の挨拶】
本日は誠にありがとうございます。
父が亡くなってから慌ただしい時間が過ぎましたが、こうして皆様のお顔を見て、少しホッとしております。
この席では堅苦しいことは抜きにして、父の思い出話などをしながら、ゆっくり過ごしていただければと思います。
それでは、献杯のご唱和をお願いいたします。
献杯。
心に残る挨拶にするための「エピソード」の探し方
定型文だけでは味気ないと感じる場合は、短くエピソードを挟みましょう。
難しく考える必要はありません。以下の視点で探してみてください。
故人の「好きだったもの・口癖」を入れる
- 「お酒が大好きで、晩酌を楽しみにしていた父でした」
- 「口数は少ないけれど、いつも『ありがとう』と言ってくれる母でした」
- 「仕事一筋で、真面目な性格の夫でした」
闘病中や最期の様子を少しだけ話す
参列者の多くは、最期の様子を知りません。少しだけ共有することで、安心してもらえます。
- 「最後は眠るように、安らかに息を引き取りました」
- 「病床でも、皆様に会える日を楽しみにしておりました」
これだけは注意!使ってはいけない「忌み言葉」
どんなに心がこもっていても、以下の言葉はマナー違反とされています。
無意識に使ってしまいがちなので、原稿を書いたらチェックしてください。
重ね言葉(たびたび、ますます、重ね重ね)
同じ言葉を繰り返すことは、「不幸が繰り返す」ことを連想させるためNGです。
「たびたびありがとうございます」➡「心より感謝いたします」などに言い換えます。
直接的な表現(死んだ、生きている時)
死を直接連想させる言葉は避けます。
「死んだ」➡「永眠した」「他界した」
「生きている時」➡「生前」「元気な頃」
と言い換えるのが基本のマナーです。
まとめ:詰まっても、泣いても大丈夫。ゆっくり話そう
挨拶の途中で言葉に詰まったり、涙で声が出なくなったりしても、誰も責めたりしません。
むしろ、その姿こそが故人を想う気持ちの表れとして、参列者の胸を打ちます。
ここは家族葬の場です。
上手く話そうとせず、故人への手紙を読むようなつもりで、ゆっくりと語りかけてください。

