「終活を始めたいけれど、何から書けばいいかわからない」
「市販のノートを買ったけど、項目が多すぎて挫折した」
そんな経験はありませんか?
実は、エンディングノートは隅々まで埋める必要はありません。家族が本当に知りたい情報は、ほんの一部だからです。
遺言書とは違い、法的効力はありませんが、その分「家族の迷い」や「罪悪感」を消してあげる効果は絶大です。
「延命治療はどうする?」「お葬式は誰を呼ぶ?」「スマホのパスワードは?」
本記事では、家族が路頭に迷わないために、これだけは書いておくべき「3つの必須項目」と、挫折しない書き方のコツを紹介します。
まずは違いを知ろう。「遺言書」と「エンディングノート」
混同されがちですが、この2つは役割が全く異なります。目的によって使い分ける(あるいは両方用意する)必要があります。
遺言書は「財産(お金)」のため。法的効力がある
遺言書は、主に「誰に、どの財産を、どれだけ渡すか」を指定するための法的書類です。
「長男に家を継がせる」「預金は妻に」といった財産分与に関しては、遺言書に書かないと法的な強制力を持ちません。
書き方にも厳格なルールがあり、不備があると無効になってしまいます。
エンディングノートは「処置・手続き」のため。法的効力はない
一方、エンディングノートには法的効力はありません。
その代わり、形式は自由です。
「介護の方針」「葬儀の希望」「友人への連絡」「ペットの世話」など、法律では決められないけれど、残された家族が判断に困る事務的なことや、あなたの想いを伝えるためのツールです。
これだけでOK!家族が助かる「3つの必須項目」
市販のノートには「自分史」や「家系図」を書く欄がありますが、これらは後回しで構いません。
家族が緊急時に本当に必要とするのは、以下の3点です。
1. 医療・介護の希望(延命措置の有無)
これが最も重要です。いざという時、家族が一番苦しむのが「延命治療をするかどうかの決断(命の選択)」だからです。
「胃ろうは望まない」「痛みを取り除く緩和ケアをお願いしたい」という意思表示が一行あるだけで、家族は「本人の希望通りにしたんだ」と、罪悪感なく決断することができます。
2. 葬儀・お墓の希望(誰を呼ぶか)
「葬儀は派手にしてほしいのか、ひっそり行いたいのか」が分からないと、喪主は悩みます。
「家族葬で小さく行ってほしい」「遺影はこの写真を使ってほしい」など具体的に書きましょう。
また、「亡くなったことを知らせてほしい友人リスト(名前と連絡先)」は、家族には絶対に分からない情報なので必須です。
3. デジタル情報(スマホ・PCのパスワード)
現代の終活における最重要項目です。
スマホのロックが開かないと、友人の連絡先が分からないだけでなく、ネット銀行や証券口座の存在すら家族に気づかれない(資産凍結)リスクがあります。
スマホとPCのログインパスワード(PINコード)は必ず残してください。
※「見られたくないデータ」がある場合は、「中身は見ずに初期化してほしい」と書き添えておきましょう。
どこに書く?どう保管する?
高価なエンディングノートを買う必要はありません。
100均のノートや大学ノートで十分
市販の専用ノートは項目が多すぎて、埋めるのがプレッシャーになりがちです。普通の大学ノートに、上記の3項目だけを箇条書きにするだけで十分です。
最近はスマホアプリやPCデータで残す人もいますが、高齢の家族が見つけられなかったり、パスワードがわからず開けなかったりするリスクがあるため、最後は「紙」に残すのが一番確実です。
保管場所は「見つけやすく、人目につかない場所」
書き上げたノートを銀行の貸金庫に入れるのはNGです。
本人が亡くなると口座が凍結され、煩雑な手続きを経ないと金庫を開けられなくなるため、葬儀や緊急時に間に合わないからです。
本棚の隅や仏壇の引き出しなど、「普段は人目につかないけれど、探せば見つかる場所」に保管し、信頼できる家族一人だけに「あそこにあるよ」と伝えておくのがベストです。
まとめ:エンディングノートは「家族へのラブレター」
エンディングノートを書くことは、死ぬ準備ではありません。あなたが倒れたり亡くなったりした後に、残された大切な家族が喧嘩したり、判断に迷って苦しんだりしないための、「最後の優しさ(ラブレター)」です。
全部書こうとせず、まずは「延命措置はしないで」の一行から始めてみてください。
それだけで、家族の未来の負担は大きく軽くなります。

