家族葬の案内状に「香典・供花は固くご辞退申し上げます」と書いたにも関わらず、当日受付にお金を持ってくる人や、宅配便でお花が届くことは珍しくありません。
「辞退と書いたのだから、断固として拒否すべき?」
「それとも、せっかくの好意を無にするのは失礼?」
この判断を誤ると、相手に恥をかかせたり、後々の人間関係にヒビが入ったりします。
本記事では、辞退の案内を出した後に「それでも」と渡された場合の対処法を、アイテム別(香典・花・弔電)に解説します。
【大原則】受付での手渡しは「丁重にお断り」してOK
まず基本ルールですが、当日の受付で手渡しされた場合は、案内通りお断りして構いません。
というより、お断りするべきです。
なぜ断るのか?「不公平感」を出さないため
もし、押しに弱い受付担当者がAさんの香典を受け取り、隣のBさんの香典を断ってしまったらどうなるでしょうか。
「あの人は受け取ってもらえたのに、私は断られた(恥をかかされた)」と、Bさんは不快な思いをします。
こうしたトラブルを防ぐため、受付では「どなた様からも一律でお断りしております」という姿勢を崩さないのが鉄則です。
角が立たない断り方のトーク例
相手を不快にさせないよう、以下のように伝えてください。
【受付での断り方】
「お気持ちは大変ありがたいのですが、故人の遺志により、ご香典・お供え物は一切をご辞退させていただいております。
お気持ちだけ、ありがたく頂戴いたします。」
ポイントは「お金はいりません」ではなく「気持ちは受け取ります」と伝えることです。
受け取らざるを得ない「例外ケース」の判断基準
しかし、何が何でも断ると、逆に失礼になるケースがあります。
以下の場合は、柔軟に受け取るのが大人のマナーです。
ケース1:郵送(現金書留)で届いてしまった
これが最も注意すべきケースです。
すでに送られてきた現金書留を「受取拒否」したり、そのまま返送したりすることは絶対にやめてください。
日本において、送られてきた現金を突き返す行為は「あなたとは絶縁します」という強烈な拒絶の意思表示になります。
相手の善意を無にしないよう、ありがたく受け取り、後日お返しをしましょう。
ケース2:上司や目上の人が「どうしても」と譲らない
受付で一度お断りしても、「どうしても私の気が済まないから」「これは会社からだから」と引かない方がいます。
その場合、頑なに拒否して相手の顔を潰すのはマナー違反です。
「そこまでおっしゃってくださるなら」と折れて、感謝して受け取りましょう。
ケース3:供花(スタンド花)が式場に届いてしまった
宅配便や花屋を通じて、スタンド花や胡蝶蘭が届いてしまうことがあります。
これも、送り返す(突き返す)のは現実的ではありません。
葬儀社の担当者に確認し、飾るスペースがあるなら、ありがたく飾らせてもらいましょう。
アイテム別対応:弔電(電報)は受け取っていい?
香典以外にも迷うものがありますが、それぞれの判断基準は以下の通りです。
弔電は「辞退」の対象外にするのが一般的
弔電(お悔やみの電報)は、金品ではありません。
受け取っても遺族側に金銭的な負担(お返し)が発生しないため、基本的にはすべて受け取ります。
※もし弔電も断りたい場合は、案内状に「弔電も辞退します」と明記する必要があります。
供物(缶詰や果物)を持ってこられたら
「手ぶらでは行けないから」と、お菓子や果物を持ってこられる方もいます。
これも頑なに断る必要はありません。一旦祭壇にお供えし、葬儀が終わった後に「お下がり」としてバラし、親族で分けるか、持ってきてくれた本人に少し持ち帰ってもらうなどすれば無駄になりません。
【注意】受け取ってしまったら「お返し」の義務が発生する
例外的に受け取った場合、当然ですが「もらいっぱなし」にはできません。
辞退のメリット(手間なし)が消えることを覚悟する
香典辞退のメリットの一つは「香典返しの手間がなくなること」ですが、受け取ってしまった分については、そのメリットが消滅します。
「受け取る」と判断した時点で、後日個別に「香典返し」や「お礼状」の手配が必要になることを覚悟してください。
受け取った人リストを確実に控えておく
当日はバタバタしますが、受け取った香典や供花の送り主は、必ず「香典帳(またはノート)」に記録しておいてください。
四十九日の法要が終わった後に、いただいた額の半額程度のお返し(半返し)を配送します。
まとめ:マナーより「感謝」を優先する柔軟さを
「辞退」と決めた以上、ルールを守ることは大切です。
しかし、お葬式において最も大切なのは、故人を悼んでくれる人への「感謝」です。
相手がどうしてもと差し出してくれた善意の手を、マナーを盾にして振り払う必要はありません。
「困ったな」と思うかもしれませんが、その温かい気持ちに感謝して受け取る柔軟さも、喪主には必要です。

