家族葬を行う際、最も気がかりなのが「呼ばない人への伝え方」です。
「参列を断るのは失礼にならないか?」「香典だけでも受け取るべきか?」と悩み、連絡文が曖昧になってしまうケースが後を絶ちません。
しかし、最大の思いやりは「はっきりと意思表示をすること」です。
「行っていいの?」「お金は包むの?」と相手を迷わせることこそが、一番の失礼にあたるからです。
本記事では、会社・近所・友人など相手別に、角を立てずに参列や香典を辞退するための「連絡文例(テンプレート)」を網羅しました。コピーしてそのままお使いください。
家族葬の案内は「曖昧」が一番のタブー
文例を見る前に、一つだけ鉄則をお伝えします。日本人の美徳である「曖昧さ」は、葬儀の案内においてはトラブルの元です。
「近親者のみで行います」だけでは伝わらない
「家族葬で行います」や「近親者のみで見送ります」と書いただけでは不十分です。 なぜなら、受け取った側は「自分は親しい間柄だから、行ってもいいはずだ(むしろ行かないと失礼だ)」と勝手に解釈してしまうからです。
辞退すべき3点セット(参列・香典・供花)
断る際は、以下の3つを具体的に挙げて「辞退する」と明記する必要があります。
- 参列(弔問): 式場に来ること
- 香典: 現金を包むこと
- 供花・供物: お花や盛籠を送ること
「ご厚志(お気持ち)は辞退します」といった曖昧な表現だと、「じゃあお花ならいいだろう」と供花が届いてしまいます。「固くご辞退申し上げます」という強い言葉を使うのがマナーです。
【会社・職場へ】忌引連絡と葬儀案内を分ける文例
会社への連絡は、「業務連絡(休みます)」と「葬儀案内(来ないでください)」を分けて考えます。
上司への報告(口頭・電話用スクリプト)
直属の上司へは、まず電話で伝えます。第一目的は「忌引休暇の取得」ですので、結論から伝えます。
【上司への電話例】
「お疲れ様です、〇〇です。 昨夜、実父が亡くなりまして、これから葬儀の手配等のため、〇月〇日まで忌引休暇をいただきたくご連絡しました。
なお、葬儀につきましては、故人の遺志により家族葬で執り行います。
皆様へのご負担を考慮し、参列や香典等は辞退させていただきたく存じます。
詳細につきましては、後ほどメールでも送らせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
総務・部署全体への連絡(メール・FAX用文例)
電話の後、総務や関係者へ送るメール文面です。これをそのままコピペして送信してください。
件名:【訃報】実父 〇〇儀 死去のご報告(〇〇部 名前)
関係者各位
お疲れ様です。〇〇部の(自分の名前)です。
実父 〇〇儀 かねてより病気療養中でしたが、〇月〇日永眠いたしました。
ここに生前のご厚情を深謝し、謹んでご通知申し上げます。
なお、葬儀につきましては、故人の強い遺志により近親者のみの家族葬にて執り行います。
つきましては、誠に勝手ながら、
御香典・御供花・御供物の儀は、固くご辞退申し上げます。
何卒、故人の意を汲んでいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
※本件に関する返信は不要です。
(署名)
取引先には伝えるべきか?
原則として、取引先には葬儀が終わるまで伝えません(事後報告)。 事前に伝えると、義理で参列しようとしたり、電報の手配をさせてしまったりと迷惑をかけます。
「急用で不在にしております」とだけ伝え、葬儀後に報告するのがスマートです。
【ご近所・町内会へ】回覧板や掲示板で伝える文例
地域性が強いエリアでは、町内会長さんを通じて連絡します。
町内会長へのお願いの仕方
会長さんには、「近所の方に集まってほしくない(負担をかけたくない)」という意図をはっきり伝えます。
「今回は家族だけで送りますので、皆様には『参列不要』とお伝えください。場所や時間は、混乱を避けるため伏せていただけますでしょうか」と依頼しましょう。
回覧板・訃報用紙のテンプレート
回覧板に挟む用紙の文例です。あえて「場所と時間」を書かないのが、押し寄せ防止のテクニックです。
訃 報
住民の皆様へ
〇〇町〇丁目の 〇〇 〇〇 儀
令和〇年〇月〇日 永眠いたしました。
葬儀につきましては、故人の遺志により近親者のみの家族葬にて執り行います。
勝手ながら、一般の方のご参列および、お香典・お供花等は固くご辞退申し上げます。
生前のご厚情に深く感謝いたしますとともに、謹んでご通知申し上げます。
喪主 〇〇 〇〇
【友人・知人へ】LINEやメールで送る柔らかい文例
友人関係には、形式張りすぎず、かつ意思は明確に伝えます。
グループLINE等で一斉送信する場合
仲の良いグループLINEなどで報告する場合の文面です。
みんな、急な連絡で驚かせてごめんね。
実は、父(母)の〇〇が、〇月〇日に息を引き取りました。
最期は家族に見守られて、穏やかな旅立ちでした。
葬儀については、家族だけで静かに見送ることにしました。
参列やお香典などは、どうか気を使わないでください。
落ち着いたら、また改めて連絡させてもらうね。
返信も不要です。読んでくれるだけでありがとう。
個別に「参列辞退」を伝える場合
「葬儀に行きたい」と言ってくれた友人に対し、丁重にお断りする場合の返信です。
温かい言葉をありがとう。〇〇さんの気持ち、本当に嬉しいです。
ただ、今回の葬儀は「家族だけで静かに過ごしたい」という母(遺族)の強い希望があって、親族以外のご参列はどなた様も遠慮していただいているんです。
勝手を言って申し訳ないけれど、当日は自宅などから心の中で手を合わせてもらえたら、それが一番の供養になります。
本当にありがとう。
もし「香典・供花」が届いてしまったら?
どれだけ「辞退」と言っても、送ってくる人はいます。その場合の対応です。
原則は「受け取らない」がマナーだが、郵送等は受け取る
葬儀当日の受付であれば「辞退しております」と断れますが、郵送(現金書留)や、供花が式場に届いてしまった場合は、拒否して送り返すのは逆に失礼になります。
その場合は、「ありがとうございます」と受け取ってしまって構いません。
受け取った場合は必ず「半返し」の準備を
受け取った以上は、後日(四十九日後などに)半額程度の品物を「香典返し」として送るのがルールです。
「辞退って言ったのに!」と怒らず、故人を想ってくれた気持ちに感謝して、大人の対応をしましょう。
まとめ:明確な「お断り」は、相手への優しさである
断ることは、決して冷たいことではありません。 相手に「準備しなくていいんだ」「行かなくて失礼にならないんだ」という安心感を与えることでもあります。
今回ご紹介したテンプレートを活用して、あなたも周りの方も、迷いのない状態でお別れの時間を過ごせるようにしてください。
参考文献・公的機関リンク集
当サイト『家族葬の判断ガイド』の記事は、以下の公的機関の情報や法令に基づき作成しています。

